店舗概要
魚雷のスタートは2010年。元々その12,3年前からサイフォンでだしを引く、という構想があり、それが実現した店舗だ。名前の由来は魚の出汁にある。和食のような上品な引き方ではなく、出汁本来の味を魚の美味しさで「雷」のような刺激を味わってほしい、という思いが込められている。
特徴的な店名を表す印象的なロゴ、店舗の入り口の上には映画のセットで使われていたものをわざわざ取り寄せたという、魚雷のセットが飾られていたりと、こだわりは味だけでなく細部に渡る。
お店の歴史
店主塚田さんの地元、長野県で唯一通うという喫茶店がサイフォン式のコーヒーを出す。ドリップ式は味に雑味がなく、非常に洗練されている、ラーメンでいえば清湯系といった味わいがある。一方でサイフォン式はコーヒーの雑味なども出しきった味わいがある。
- コーヒー豆を栽培している農園での作業の熱心な情景としてを思うと、上澄みのいいところだけ飲んでいるのは申し訳ない気持ちがあるんですよ。 それを思うとサイフォンはコーヒー豆の上澄みだけでなく、全ての味を出し尽くした、成仏した味がすると思うんです。そこで魚雷では、使っている動物の生命力が出し切るために、サイフォンで抽出して食材の味を成仏させる、ということを考えています。出汁を通した「生命の再生」が魚雷のテーマなんです。
商品の特徴、こだわり
スープに使う鰹節については名所鹿児島県枕崎の鰹節屋のものを使用しているが、その鰹節自体についての研究も深く本枯節をさらに天日干ししてもらうという特注の本枯節を使用している。スープは動物系、魚も厳選した魚をそれぞれ水出し、火入れをし、それぞれ最適な抽出を行ったスープをサイフォンで出す、という工程を経ている。サイフォンでは沸騰したタイミングでスープが上述の鰹節の上に瞬時に現れ泡状の層ができ、それがさらに濾されていくことで、「生命の再生」が行われる。
かえしは火入れをした醤油と、していない醤油を緻密に合わせた絶妙のバランスのものとなっており、これらを合わせて開業から続けている世界でも唯一無二の作り方と自負するスープが構築されるのだ。
開発の想い
塚田さんは長野県出身、15歳からラーメン屋で働き、22歳で独立した。独立前にはラーメンを学ぶために全国を行脚し、九州で製麺を学ぶなどした。地元にかける思いは強く、信州の人に色々なラーメンを食べてもらいたい、というところからお店を始めた。現在も、信州のラーメンをブランディングしていきたいという精神を持ち続けている。
苦労したこと
苦労、ということで言えば開業から今までずっと、苦労していますよ。地元の信州は蕎麦の名産地でもありますので、ラーメン屋という時点で土俵にあげてもらえないことになってしまうんです。苦しい状況ではありましたが信州発の低加水、鶏白湯など育ててきました。東京に出てきた時にも、朝まで泣きながらスープを作り続ける日々もありました。それでも、サイフォンを使ったこんなへんてこりんなラーメンだったけれど、続けているうちに称号をいただくことができたんです。自分のやってきたことが報われた瞬間でしたね。
好きなラーメン
好きなラーメンはいっぱいありますよ!この質問をされたら、「何が好きですか?」と聞くことにしています。相手の方の好みに合わせて、このお店のここがすごいなんて語り始めたら、30分くらいかかりますよ。 あえて言うなら最近は、懐かしの中華そば、背脂の醤油ラーメンや町中華のラーメンのようなものに年と共に心動かされている部分がありますかね。。
ご自宅での美味しいお召し上がり方
ここで買うことのできるつけ麺はキレキレの、どういじってもご家庭で美味しく食べてもらえるようなつけ麺にしています。お湯で時間7分で表記しているけど、たっぷりのお湯でなるべく強火、入れたらすぐ湧き上がる感じで決められた時間で茹でてほしいです。茹でた後は冷たい水と、できれば氷でしっかりしめてほしいですね。つけ汁を入れる器はできれば、あたためてほしいですね。 あと、ご家庭では仕上げにネギを切っていただけるといいかもしれないですね。切たての長ネギは香りが立ってとても美味しいのですが、お店ではオペレーションの都合で切ってあるものを使わざるを得ない部分があるんです。自宅で切りたてを使える、というのはお店を超える瞬間があるかもしれませんね。 ご家庭でアレンジするなら、濃厚なスープなので、トマトがさっぱり感を演出したり、チーズで更に濃厚にしたり、山椒の実を入れて味を変えてみてもいいと思います。今回のつけ麺はブレが少ないようにしているので、味の柱はブレずに、アレンジを楽しんでもらえると思います。