2015年4月、イタリアンやフレンチ、韓国料理など様々なジャンルで腕を磨いてきた小野寺店主が、地元からほど近く土地勘のある岩手県一ノ関で創業した。
ラーメン店での修業経験は無いものの元来ラーメン好きであったことから、多ジャンルでの料理経験を活かし、ほぼ独学で開業したという。
『UMAMI　SOUP　NOODLES　虹ソラ』という独特な店名は、世界のスタンダードにもなってきている“UMAMI”というフレーズを使う事で諸外国の方々にも分かり易く、また素材ごとのUMAMIを虹のように重ね合わせる、という店主のラーメンに対するコンセプトが表されている。
そして、虹のような“味のグラデーション”と、そこから生まれる“独創的で豊富なメニュー”が、多くの常連客を虜にさせる一ノ関の人気店である。

ラーメン店での下積みが無かったことから、まず一番最初の商品作りは大変だったと話す小野寺店主。0から1を作り上げることがとにかく難しく、オープンまでの3ヶ月は各パーツの仕込みからそれぞれの配合比を繰り返し試す日々が続いたという。
トライ＆エラーの反復でありエラーの連続であったが、今ではその失敗こそが自身の財産となっている、と当時を振り返り感慨深く話す店主の言葉に、ラーメンに対する並々ならぬ情熱を感じた。

素材それぞれの味が分かり易いように複雑にはしないが、味の階層は多く作るという。
ベースとなる鶏出汁は丸鶏を中心に胴ガラともみじを加えて仕込み、一晩寝かせることで鶏感を増幅させる。浮いた鶏脂は全て取り除くことで風味の安定化を図り、そこに煮干しなどの魚介を合わせ、そのスープの強さを活かし引き立てる醤油を選ぶ。幾層にも重ねる“UMAMI“がケンカしないように、足し算と引き算を絶妙なバランスで設計するという。
比率・スケール・温度管理など、化学的根拠に基づいた味作りを軸とし、日本各地のご当地料理にみられるその土地その土地のストーリーに紐づき理にかなった調理法にリスペクトを抱く小野寺店主らしい、徹底されたラーメン作りといえるだろう。

素材本来の持ち味であるUMAMIの層を重ね、その味の階段を一段ずつ上るように感じられるよう、化学調味料を使用せずに作る鶏にぼしソバ。
一口スープを含むと魚介系のインパクトのある風味に合わせ鶏由来である動物系の厚いUMAMIが口中を埋めつくす。
その直後に、決してえぐみを感じさせない煮干しの風味が顔を出し、サンマ節のふくよかな甘みが余韻として優しく残る。

調和の素晴らしいこのスープに合わせる麺は、全粒粉入りの低加水細ストレート自家製麺切刃＃24。
このスープにマッチする外麦を選定し、卵白を練り込みゆっくりと圧をかけることで茹でのびを抑えた麺を啜ると、パツッとした小気味よい歯切れの食感と段階的に変化するスープの“UMAMI”のこの上ない調和が感じ取れるだろう。
常時7〜8種の自家製香味油と3種以上のスープを使い分け、虹のように色とりどりなラーメンを作り出す『虹ソラ』の鶏にぼしソバ。
“虹のふもとのラーメン“を篤とご賞味あれ。

【住所】岩手県一関市三関神田175-1
【定休日】金曜（不定休あり）
【営業時間】11:30〜15:00　17:30〜21:00
　　　　　　またはスープがなくなるまで